第7番染色体部分欠損症のうち、split hand/foot malformation(SFHM)と呼ばれる特徴的な臨床形態を示すものがある。これは、両四肢の指に発生する「ロブスターのツメ状」と形容される特徴的な奇形を有する疾患であり、この中には時に難聴を合併するものがあることが報告されている。今回、SHFMに先天性高度難聴を合併した症例に対してfine-deletion mappingを行い、本症例での染色体欠損領域を同定することを目標とした検討を行った。患児の末梢血を採取し、フェノールクロロフォルム法にて、DNAを抽出した。抽出したDNAは、既報に従ってfine deletion mappingを行った。コントロールには3人の健康成人のDNAを用い、single alleleによるバンドパターンを確認した。このときのプライマーには、これらのマーカーのセントロメア側から順番に、D7S1830、D7S1831、D7S494、D7S669、D7S644、D7S646、D7S651、D7S518、D7S796、D7S525、D7S1817、D7S486、D7S480を用いた。 D7S644、D7S646、D7S651、D7S518の四つのマーカーは単一アレル由来のバンドのみが検出された。 一方でこの領域に隣接するD7S669およびD7S796のマーカーでは、ヘテロ接合性が確認できたため、少なくともD7S644からD7S518までの最短4.58cM、最長で16.48cMの領域が欠損していることが示された。この領域はすでに報告のあるSHFM遺伝子座を含み、そのtelommeric sideに広い領域を含んでいた。この遺伝子領域の中にはPDSは含まれず、また実際本症例でPDSの直接塩基配列決定を行ったが、その中には意味のある変異を同定することはできなかった。
|