1.材料の採取 岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室で治療したの頭頚部癌の男性患者(舌扁平上皮癌 T4N2bM0:Stage IV)に対しインフォームドコンセントを取得し手術時に採取した腫瘍組織の一部を液体窒素で即時凍結した後マイナス80度で保存した。同時期に同患者の末梢血も採取し遠心分離した血清をマイナス20度にて保存した。 2.cDNAライブラリーの作製 凍結した腫瘍組織よりトータルRNAの抽出を行い、ポリAセレクションによりmRNAを得た。このmRNAを用いて作製したcDNAを大腸菌発現λ(ラムダ)ファージに組み込んだ8.1×10^5のcDNAライブラリーの作製に成功した。 3.陽性クローンの同定とサブクローニング cDNAライブラリーラムダファージを大腸菌にトランスフェクトし腫瘍細胞由来タンパクを発現させこのタンパクをニトロセルロースメンブレンにトランスファーした。メンブレン上のタンパクと凍結保存していた癌患者希釈血清とのブロッティングを行い、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体を用いて発色させ、陽性クローンの同定を行った。腫瘍組織へinfiltratingしているB細胞由来のIgGクローンは患者血清との反応の前にペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体とメンブレンをあらかじめ反応させ発色させることにより除外した。 本法をもちいて1stスクリーニング、2ndスクリーニング、3rdスクリーニングと行い最終的に5個の陽性クローンを得ることができた。
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