研究概要 |
唾液中に含まれる癌細胞を検体として,非侵襲的で鋭敏な口腔咽頭癌の診断方法を確立し,早期発見に役立てることを研究目的として実験を行った. 1)研究材料.山口大学耳鼻咽喉科においてインフォームドコンセントを得て,治療前に採取した口腔咽頭癌患者の唾液(うがい液,腫瘍ぬぐい液)および末梢血リンパ球から,また手術時あるいは生検時に摘出した癌組織からDNAを抽出した. 2)研究方法.12種類のマーカーを使いPCRマイクロサテライト解析を行った.まず基礎実験として頭頚部腫瘍で染色体の異常(Microsatellite instability:MSI)を高頻度に検出するマーカーを検索した.次いで各症例の癌組織DNAを末梢血リンパ球からの正常DNAと比較しMSIを調べた.MSI陽性症例については唾液から抽出したDNAと比較し,癌組織のMSIと同様の所見を検出できるか検討した. 3)結果.今年度までの結果ではMSI陽性症例の頻度は20%程度であり,一部の症例に唾液DNAでも同様の所見を得た.唾液内の微量の癌細胞を分子生物学的に検出することが証明された.症例を増やして検討予定である. 以上の結果は平成11年9月に広島で開催された日本癌学会において発表した.
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