研究概要 |
(平成11年度研究実績) 我々は頭頸部扁平上皮癌の上皮成長因子受容体(EGFR)に着目し、上皮成長因子受容体細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体による腫瘍増殖抑制、抗体と化学療法剤併用による抗腫瘍効果の増強、抗体と化学療法剤を化学的に結合させ、選択的殺細胞効果(target therapy)を導くことなどを研究し、報告してきた。平成11年度にはこれらの実験を続行するとともにビタミンA受容体と拮抗する物質による頭頸部扁平上皮癌のEGF反応性の変化を検討し、モノクローナル抗体による効果との比較を行なった。また、ビタミンA,ビタミンD3などの補助療法についても探求した。その結果ビタミンA,ビタミンD3はそれぞれ単独でも頭頸部扁平上皮癌培養細胞の増殖を抑制する効果がみられたが、EGFによる細胞増殖促進効果を抑制するはたらきがみられた。ビタミンA受容体と拮抗する物質はこのはたらきを特に抑制はしなかった。抗EGFR抗体によるEGFリセプターのブロックはビタミンA,ビタミンD3の培養細胞増殖抑制効果には影響を与えなかった。EGFを添加して培養することによって末梢血単核球の腫瘍細胞傷害活性に増強がみられた。CDDP,5-FU,ADMなどの化学療法剤と抗EGFR抗体との併用によって培養細胞増殖抑制効果における相乗効果がみられた。
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