感音難聴の動物モデルとしてモルモットの音響外傷を作成し、聴覚障害の程度と内耳に生じるアポトーシス発現、転写因子活性の相関を検討している。 聴覚障害の程度は、ABRによる閾値測定の結果を負荷前後で経時的に比較した。現在、パラフィン包埋した内耳組織切片をTUNNEL染色し、アポトーシス発現の局在を検討し、また転写因子AP-1の構成蛋白であるFra-2、c-Junなどの抗体を用いて免疫染色を行っている。今後、摘出した側頭骨から蝸牛感覚上皮(有毛細胞など)、蝸牛外側壁(血管条、ラセン靭帯など)、蝸牛軸(ラセン神経節、蝸牛神経など)などに分けて組織を採取し、それぞれのDNAを調整してアガロースゲル電気泳動法を用いてDNA断片化を検出するほか、Fra-2、c-Junなどの半定量的なウエスタンブロッティングを行う。さらに、音響負荷レベルや負荷時間の相違とアポトーシス発現や転写因子活性の程度を比較検討したり、また負荷からの時間経過に従ってアポトーシス発現や転写因子活性がどう変化していくかを検討していく。また、音響負荷に先だって、アポトーシス阻害剤を外リンパ灌流法を用いて蝸牛内に局所投与し、音響外傷に対する予防効果とアポトーシス抑制効果の関係を分析していく予定である。
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