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新生マウスの内耳蝸牛のらせん神経節細胞と前庭神経節細胞を単離、培養し、膜電位感受性色素を用いて染色した後、各種刺激による膜電位変化を光学的測定装置(ARGUS-50/PDA)を使用して多点同時測定し、その空間的・時間的変化を光学的に観察した。
膜電位感受性色素を用いた膜電位の光学的計測は、今や国内外において広く行われている方法であるが、聴覚系においては聴皮質を対象とした中枢神経系における検討が国内1施設より報告されているのみで、内耳においては他に報告はない。
当施設では、これまでに内耳蝸牛から神経節細胞を取り出し、これを培養することで、より細胞を通常に近い状態に保ち、その膜電位変化を記録できた。これにより、従来困難といわれてきた単離細胞を用いても、細胞の状態が良い状態に保たれていれば光学的膜電位測定法による膜電位変化を検出できることがわかった。これにより、昨年度は単離らせん神経節細胞を使った報告を発表し、今年度は単離前庭神経節細胞を使った結果を発表することができた。この光学的測定法は、異なる細胞同士のinteractionを同時に検出出来るシステムであるため、様々な細胞が複雑なネットワークを形成する内耳領域においては、さらに活用されても良い方法と考える。また、聴神経の中継核である蝸牛神経核や前庭神経核を含む脳幹のスライス標本を用いて、同様に光学的膜電位計測法による情報伝達の検討もおこない報告した。この光学的測定法は今後も耳鼻咽喉科領域において様々な分野で応用できると思われる。
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