【目的】グリケーション後期反応生成物(advanced glycation end products=AGE)形成が糖尿病合併症発症の原因の一つとして注目されている。今回我々は、糖尿病網膜症におけるAGEの役割を検討した。【方法】糖尿病発症後12ヶ月のOLETFラットおよび対照として同週齢のLETOラットを全身麻酔後、眼球を摘出し、凍結切片を作成した。網膜において、AGE形成の程度と局在をN'-carboxymethyl lysine(CML)に対するモノクローナル抗体(6D12)およびピラリンに対する抗体を用いて、免疫組織化学で検討した。【結果】OLETFラットでは角膜輪部上皮下と網膜内の血管周囲にCMLとピラリンが陽性に染色されたのに対して、LETOラットでは陰性であった。その他の網膜組織、角膜、神経組織ではともにCML、ピラリンは染色されなかった。【結論】NIDDMモデルラットでは、角膜輪部上皮下と網膜内の血管周囲にCMLとピラリンが陽性に染色されていた。高血糖に伴うAGEの形成が、糖尿病眼合併症の原因の一つと考えられた。
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