研究概要 |
(1)グルタミン酸により培養網膜神経節細胞がアポトーシスを誘導するかを検討した。 網膜神経節細胞の純粋培養を行い、グルタミン酸暴露によりアポトーシスが誘導されているかをみるためTUNEL法を用いて検討した。グルタミン酸によるアポトーシス誘導率は以下のような計算式を用いた。 ((TUNEL陽性細胞(glutamate群)-TUNEL陽性細胞(control群)TUNEL陽性細胞(DNase群)-TUNEL陽性細胞(control群))×100(%) gultamate25μM投与群のアポトーシス誘導率は15〜30%で、glutamate500μM投与群のそれは約50%と濃度依存性にアポトーシスが誘導された。 (2)カルシウムチャンネルブロッカー、ニルバジピンのグルタミン酸神経細胞死抑制効果を検討した。 カルシウムチャンネルブロッカーは正常眼圧緑内障の治療薬として有効である報告と無効である報告があり、現在のところ一致した見解が得られていない。カルシウムチャンネルブロッカーが有効とする作用機序には眼血流量増加が考えられており、実際にニルバジピンは視神経乳頭血流を増加させることが知られている。現時点では、カルシウムチャンネルブロッカーそのものに神経保護作用があるかどうかは不明である。そこで、我々は培養網膜神経節細胞を用いてニルバジピンがグルタミン酸神経細胞死を抑制するか、またアポトーシスを抑制するかを検討した。ニルバジピンは濃度依存性に(1〜100nM)グルタミン酸神経細胞死を抑制し(生存率:Glu単独群vs.Glu+Nid(100nM),46.2±5.9%vs.68.5±4.9%,mean±s.d.)、アポトーシス誘導率も有意に抑制された(33.6±7.8%vs.17.3±4.8%,p<0.001)。また、この抑制効果はニフェジピンでは見られなかった。以上より、培養網膜神経節細胞においてニルバジピンがグルラミン酸により神経細胞死(アポトーシス)を抑制することが明らかになった。
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