研究概要 |
1.1型単純ヘルペスKOS株の5x104PFUをBALB/cマウスの片眼前房に接種して,対側眼内にヘルペス網膜炎を惹起した.網膜炎は発症後2週間で沈静するが,その経時変化の背景にある炎症性サイトカインの動態について,RT-PCRを用いた半定量を行い,検討した.マウス眼球からmRNAを抽出し,インターフェロンガンマ(1FNγ),インターロイキン(lL)1β,2,4,10,12およびTNFα,TGFβ,iNOSについて,RT-PCRを行った.その結果,IFNγ,IL-2,-4,-10,TNFα,iNOSについては,網膜炎の極期である,ウイルス接種後11日目もしくは14日目で最大のmRNA発現量となっていた.これに対して,TGFβとIL12では同時期に最低となっていた.炎症性サイトカインやリンパ球由来のサイトカインと眼内由来サイトカインでは,分泌量の経時的変化に差異のあることが判明した. 2.網膜炎を発症した眼内のサイトカイン動態を検討するうえで,サイトカインのタンパク質レベルでの産生を確認する必要があると考えた.しかし,マウス眼内から採集できる液体成分は10μl/眼程度であり,これを用いてサイトカイン濃度を定量することは不可能であった.そこで,眼内細胞を採集し,これを250μlの培養液中で12もしくは24時間培養した.上澄を用い,IL-2,-4,-10およびIFNγについて,ELISAにてサイトカイン濃度を測定した.IL-2およびIL-4については,検出限界以下であったが、IL-10とIFNγはウイルス接種後11日目に濃度が最大となり,網膜炎の活動性と一致していた.
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