BALB/cマウスの右眼前房に1型ヘルペスウイルス(KOS株)を接種し、8日目以降に対眼(左眼)に網膜炎を発生した固体を選定し、解析を加えた。左眼の炎症は接種後11〜14日目にピークを迎え、その後消炎するので、ウイルス接種後9、11、14、21、35日目を選び、経時的な変動を観察した。 1.眼内のサイトカインmRNA産生 検討を加えるサイトカインとして、γIFN、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-10、IL-12、TNF-α、TGF-β2、i-NOSを選んだ。各実験日に4〜7匹のマウスから眼球を摘出してここからmRNAを抽出し、実験終了まで-80℃に保存した。実験終了後、RT-PCRを行って、各サイトカインmRNA量を半定量的に測定し、各サイトカインmRNA量の経時的変化を調べた。その結果、γIFN、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-10、ITNF-α、i-NOSについては、炎症の変化とほぼ同機して、ウイルス接種後11もしくは14日目にmRNA量がピークを迎えた。これに対して、IL-12、TGF-β2は、網膜炎発症前からmRNAが検出され、網膜炎の極期で最も低い価となった。 2.眼内サイトカイン産生のELISAによる検討 実際のサイトカイン蛋白産生の経時的変化を調べるために、眼内から細胞を採集して培養し、培養液中のサイトカイン濃度をELISAで測定した。γIFN、IL-2、IL-4、IL-10について行ったが、IL-2とIL-4は検出限界以下の測定値であった。これに対して、IL-10とγIFNは、ウイルス接種後11および14日目に、いずれも500〜1000pg/mlという高濃度が検出された。また、ウイルス接種後21日目(炎症寛解期)の培養液からは、ほとんど検出されなかった。
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