研究概要 |
水晶体胞分離の機序におけるアポトーシスの意義を解明するために,マウスを用いて水晶体初期発生におけるアポトーシスによる細胞死を観察した.妊娠9〜16日のC57BL/6NJclマウスを屠殺して胎芽または胎仔を取り出し,4%パラフォルムアルデヒデに固定,パラフィンに包埋後,眼部連続切片を作製し,水晶体胞分離前後および自然発症した水晶体茎遺残マウスを観察した.アポトーシスの検出には,terminal deoxynucleotidyl transferase(TdT)-mediated deoxyuridine triphosphate(dUTP)-biotjn nick end labeling(TUNEL)法を用いた.水晶体板が水晶体窩さらに水晶体胞を形成するために陥入していく辺縁,消退期の水晶体茎にTUNEL陽性細胞が観察された.また,水晶体胞分離不全が自然発生した胎生14,15および16日のマウスの水晶体茎組織にはTUNEL陽性細胞は観察されなかった. また,臨床的には,水晶体の異常および眼球の発生過程における組織相互作用の異常により生じる種々の先天異常を検討した.まず,水晶体の異常として,水晶体後嚢の自然破嚢により生じた水晶体起因性ぶどう膜炎の臨床像を検討した.また,先天異常に関しては,走査型レーザー検眼鏡を用いた乳頭小窩・黄斑症候群の眼底所見の観察,先天緑内障眼に合併した巨大裂孔網膜剥離眼の検討,および前眼部形成異常を合併した先天緑内障に対する線維柱帯切開述を検討した.
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