1)肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)の網膜色素上皮細胞(RPE)の上皮化に対する影響(in vitro) ウシ培養RPEを用いた実験で、HGF添加群では非添加群に比し、環状アクチン線維束の形成が明らかで、上皮様形態への分化がみられた。tight junctionの構成蛋白である。occludinを経時的に免疫染色すると、confluentになるまでは、HGFの有無に関係なく細胞同士の接着部位にoccludinの発現がみられた。しかし、confluent後1週間では、HGF添加群ではoccludinの発現が継続していたが、非添加群ではほとんどみられず、HGFがtight junctionの形成時に作用してoccludinの安定化に関与していることが示唆された(平成11年11月、第65回日本中部眼科学会にて発表)。 次に、HGFがoccludinを安定化させる作用を持つか否かについて、固定前に可溶性蛋白を除去して細胞骨格と結合したoccludinを免疫染色した。connuentの状態では、細胞骨格に結合したoccludinの染色はHGF添加群の方が鮮明であった。また、HGF非添加群では、confluent後経時的に、細胞骨格に結合したoccludinの染色が減少し、線維芽細胞様に形態変化していった。このように、RPEにおいてHGFはoccludinの細胞骨格への結合を安定化させ、これによって上皮様形態が維持されると考えられた(平成12年4月、第104回日本眼科学会総会で発表予定)。 2)HGFのwound healingへの影響(in vitro) confluentになったRPEを一部除去したモデル、及びRPEと血管内皮細胞を用いた3次元再構成培養モデルを用いたwound healingに対するHGFの効果は、現在検討中である。
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