1.水晶体上皮細胞の培養と眼内レンズ 豚眼より採取した水晶体上皮細胞を各種眼内レンズ(PMMA2種、シリコン、アクリル)上で培養し、線維芽細胞様細胞への変化に違いがあるかどうかをα-SMA陽性細胞の比率を計測し比較検討した。その結果は、各種眼内レンズ上での水晶体上皮細胞のα-SMA陽性細胞の比率は、PMMA2種で35.9±5.7%と20.4±4.1%、シリコンで5.1±2.3%、アクリルで50.6±4.2%と有意にアクリルで高くシリコンで低かった(p<0.0001)。筋線維芽細胞様細胞への変化をシリコンは抑制し、アクリルが促進していた。 アクリル製レンズには他のレンズに比較して、ファイブロネクチンなどの細胞外基質が有意に付着しやすいと報告されており、以前の結果と合わせて考えると細胞外基質が水晶体上皮細胞の線維芽細胞様変化に密接に関わっていることが判明した。また、インテグリンの発現については、現在解析中であるが、はっきりとしたものは得られていない。 2.細胞外基質の検討 近年、線維芽細胞様細胞への変化に関与すると考えられている、SPARCなどの細胞外基質の変化が水晶体上皮細胞の変化にも関与しているかどうかを家兎眼モデルを用いて検討した。 白内障手術術後、線維芽細胞様細胞が出現する部位に一致して、SPARCの発現が認められた。SPARCも細胞の変化に関与する可能性が示唆された。
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