研究概要 |
本研究では円錐角膜における細胞外マトリックスの分解系の亢進、特にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで解析することを目的とし、既に提出した実験計画概要に基づいて、初年度は各種MMPのタンパク質レベルでの局在を円錐角膜と正常角膜で比較検討した。免疫組織化学を用いた解析の結果、正常角膜ではMMP-2,MMP-3,MMP-7,MMP-9,MT1-MMPは角膜上皮において発現しており、一部角膜実質細胞周囲にも発現していた。特に円錐角膜では角膜上皮においてMMP-2の前駆体であるPro-MMP-2の発現が亢進していた。また興味深いことに円錐角膜以外の炎症性角膜疾患ではPro-MMP-2の発現よりも活性型MMP-2の発現が著しく上昇しており、角膜の炎症に伴いMMP-2が活性化されることが示唆された。In situハイブリダイゼーションおよび半定量的RT-PCRの結果も以上の所見と矛盾せず、円錐角膜発症の過程、特にその初期の病態に共通する角膜上皮による基底膜の破壊においては、基底膜構成成分のIV型コラーゲンを基質とするMMP-2の関与が考えられた。
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