A)低酸素網膜症マウスの作成と新生血管の定量 C57bl/Jマウスを使用し、インキュベーションチャンンバーを用いて低酸素網膜症モデルを作成した。PDGF-Atransgenic mouse(PDGF-Atg)を用いて同様に低酸素網膜症を作成して凍結切片を用いた免疫組織化学染色にて血管内皮細胞を染色し、できた新生血管の定量を行ったところ、PDGF-Atgではまったく新生血管ができていないことがわかった。コントロールにおいては新生血管は発生しており、統計学的に有意な差があった。 B)新生血管抑制機序の解明 低酸素網膜症を作成した後、眼球の凍結切片をgrial fibrillary acidic protein(GFAP)を用いて、免疫組織化学染色行ったところ、PDGF-Atgではグリア細胞が内顆粒層、網膜表層に増殖しており、PDGF-Atgでは、グリア細胞が増殖することで低酸素網膜症における新生血管が予防された可能性が示唆された。低酸素網膜症の眼球から、網膜を単離してRNAを抽出し、Northern blottingにて検討を行ったところ、コントロールで新生血管が発生する生後12日〜17日の間で、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現がコントロールと比較してPDGF-Atgにおいて抑制されており、新生血管が発生しなかった一つの要因と考えられた。
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