研究概要 |
当初の予定では、体重3kg前後の家兎を用いての実験であったが、肺動脈カテーテルの挿入が困難であったため、体重約10kgのブタの実験モデルで検討した。方法は同様で、全身麻酔下、一回換気量10ml/kgで人口換気し、観血的に体重脈圧(BP)腹部下大静脈圧(Pive)の測定、5Frの肺動脈カテーテルを用いての心拍出量(CO)、右房圧(Pra)、肺動脈(Ppa)、肺毛細血管楔入圧(PCWP)測定を行った。また、全呼吸器系コンプライアンス(Crs)と気道抵抗(Raw)はocclusion法で間歇的に測定した。測定は、まず気腹前をbaselineとし、腹圧(IAP)を7.5,15,22.5,30mmHgと段階的に変化させ、測定を行った。その結果、IAPが7.5mmHgで、全呼吸器系コンプライアンスはbaselineの1.39±0.55ml/cmH^2O/kgから0.95±0.34ml/cmH^2O/kgと有意に減少しており、それに対し、循環系の指標はIAP15mmHg以上で、baselineより有意に変化していた。(心拍出量はbaselineで2.0±0.21/minで、IAP15mmHgで1.5±0.21/minと有意に減少していた。)これにより、腹腔の小さい小児に関しては、腹圧の上昇が呼吸機能に大きく影響することが示唆された。 来年度にはこの結果をもとに、家兎を用いて再度検討する予定である。
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