まずイヌの頭蓋骨において、実際の臨床に近いいかなる骨切り術が可能であるかを検討した。その結果frontoorbital advancementに準じた前頭骨の骨切りが可能であることが明らかになった。そこで骨延長器を購入し、実際の骨延長モデルを確立することとした。まずパイロットスタディとしてイヌを対象に全身麻酔下に手術を行った。冠状縫合から眼窩上縁を含む骨切りを行い、前頭骨と頭頂骨の間に骨延長器を装着した。術後の回復は問題なくイヌに対する侵襲も大きくないものと考えられた。術後5日目より延長器の延長を行った。当初、最初の数日はスムーズに延長が行われたが徐々に抵抗が増し、延長に困難を伴うようになった。このため眼窩部での骨切り線を若干変更することとした。この変更により問題なく予定とする7mmの延長が行えるようになった。現時点での結論としてイヌにおける骨延長術を用いたfrontoorbital advancementが可能であることが明らかになった。 現在パイロットスタディがほぼ終了し本実験に取り掛かりつつある段階である。 同時にイヌの頭蓋骨の規格X線撮影用の装置を作成中である。延長部の新生骨、硬膜の分析方法に関しては当院の病理部門と共同検討中である。 また結果の分析用としてパーソナルコンピューターを購入した。 今後、frontoorbital advancementの実験が軌道にのった段階で、別のmonoblock advancementのモデル作成に取り掛かる予定である。
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