Friedenbergや戸川らの報告にある低電流回路は生体における抵抗が一定でないためdual FETを利用している。(株)日本計測と協力をしながら低電流装置の開発にあたったが、技術的な問題のため断念せざるを得なかった。その後(株)エム・イー・システムのオステオグローをエンジニアとともに電流値を可変型に改良することにより、交流型の定電流装置として本実験に対応できることができた。また、この装置から発生する微弱電流を(株)日置電機のデジタルハイテスターにて感知し持続的に管理可能にもすることができた。ラットの頸骨及び下顎骨に直径1mmの穴を12mm間隔で2つあけ、電極を挿入し微弱電流を10μA、20μA、30μA、50μA、75μA、100μA通電させ、麻酔下において3時間各々通電させた。反対側の下顎骨のおいて同様にして電極を刺入し電流を通電させないものをコントロールとした。今回の実験では予備実験的な意味も含んでいるが短時間の通電においてCaやPなどの無機質の添加の以前に基質となるコラーゲンの集合の仕方やコラーゲンの超微細構造の検証を行うためである。光学顕微鏡的にまずヘマトキシリンエオジン染色において観察した。長期間の通電では電極の周囲に結合組織が増生するが今回の短期間通電では炎症性細胞の浸潤が主であった。現在透過型電子顕微鏡においてコラーゲンの状態を観察中であるが、最近注目させれるコラーゲンのらせん状フィラメントに着目してコラーゲンの伸長状態を観察している。コラーゲンのらせん状伸長とその後の無機物質の添加と生理的な圧との関係をさらに追及したい。また、さらにオステオグローBS-100をラット体幹に固定し長期間の通電実験をし、さらに詳細なデータを取得し検討を重ねる予定である。
|