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1999 年度 実績報告書

唾液腺腺様嚢胞癌細胞におけるヘパラン硫酸プロテオグリカン代謝の分子病理学的特性

研究課題

研究課題/領域番号 11771111
研究機関新潟大学

研究代表者

木村 信  新潟大学, 歯学部, 助手 (80251825)

キーワード唾液腺腺様嚢胞癌 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / in-situハイブリダイゼーション / 細胞外基質 / RNAプローブ
研究概要

本年度は以下のようにin-situハイブリダイゼーション(ISH)実験をおこない、唾液腺腺様嚢胞癌由来培養細胞ACC3および腺様嚢胞癌組織におけるヘパラン硫酸プロテオグリカン〈HSPG)のmRNA発現を検索した。HSPGのcDNA断片をもちいたDlG標識RNAプローブを作製し、ACC3細胞および腺様嚢胞癌の外科材料をもちいてISHをおこなった。外科材料はパラフィンブロックからDEPC処理水中で切片を作製、ACC3細胞は播種後2、4、6、8日目にPFA固定し、それぞれプロテイネースK処理をおこなった。
1.ACC3細胞のlSHでは4日目に最も強い信号がえられ、既報のノーザンブロットの結果と一致したことから、対数増殖期である4日目に遺伝子発現が最大となることが判明した。
2.組織切片ではHSPGmRNAはすべての胞巣で発現していたが、つぎのような特徴があった。
(1)多くの篩状構造の胞巣では、形成初期の小型偽嚢胞をとりかこむ細胞には信号強度が高く、大型偽嚢胞周囲には検出されない。
(2)索状構造の胞巣においては、とくに小型の偽嚢胞を形成する細胞に強信号が検出された。
(3)二層性導管状構造では筋上皮細胞と考えられる外側の細胞層に強い信号が観察されたが、内側の導管上皮細胞では低信号であった。
(4)浸潤性の小型胞巣では、その形状をとわず強信号がみとめられた。
2.末梢神経に浸潤し、神経組織をとりかこむ腫瘍胞巣にも強信号がみられた。
3.正常唾液腺では、腺房あるいは介在部導管の筋上皮細胞に発現し、導管上皮には低信号であった。
以上の結果から、腺様嚢胞癌の組織構築、とくに偽嚢胞形成初期においてHSPGmRNAの発現が重要であることが判明した。また、ACC3の細胞増殖と同調した遺伝子発現から、HSPGがこの細胞増殖に必須であり、さらに、組織レベルでは浸潤部位の高信号から、腫瘍細胞の増殖浸潤へのHSPGの関与が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kimura, S. et al.: "Perlecan (heparan sulfate proteoglycan) gene expression reflected in the characteristic histological architecture of salivary adenoid cystic carcinoma"Virchows Archiv. in press (2000)

  • [文献書誌] Kimura, S. et al.: "Basement membrane heparan sulfate proteoglycan (perlecan) synthesized by ACC, adenoid cystic carcinoma cell of human salivary gland origin"Journal of Biochemistry. 25. 406-413 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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