嫌気性菌である歯周疾患関連細菌をコントロールすることを目的として、嫌気状態と酸素存在下での歯周疾患関連細菌が産生するタンパク質の発現パターンの違いを検討した。試供菌として代表的な歯周疾患関連細菌であるPorphyromonas gingivalis(偏性嫌気性菌)を用いた。まず、同菌をヘミン及びメナジオン添加GAM培地で嫌気条件下37℃24時間培養し(OD600=0.6)、2本に分注後、1本はそのまま嫌気条件下で、1本は好気条件下でさらに2時間培養を続けた。培養後、集菌しリン酸緩衝液で洗浄した。菌体タンパク質の調節はタンパク分解酵素阻害剤であるTLCKを用いたほかは谷らの方法に準じて行なった。得られたタンパク質は2次元電気泳動法で展開し、クマシーブルーで染色した後、両培養条件下での比較を行なった。その結果、好気条件下で産生量の顕著に増加するタンパク質として、分子量約55kDa等電点約7.5と、分子量約26kDa等電点約5.5の2種類のタンパク質が見出された。また多くはないが好気条件下で産生量の増加するタンパク質として、分子量約12kDa等電点約4.5、分子量約11kDa等電点約4.5、分子量約20kDa等電点約5.0、分子量約8kDa等電点約7の各タンパク質が見出された。現在それぞれのタンパク質について部分配列の決定とコードしている遺伝子のクローニング及び塩基配列の決定を行なっている。12年度は遺伝子欠損株の作成とその解析を行なう予定である。
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