平成11年度はpolymeric immunoglobulin receptor(pIgR)3'-非翻訳領域(3'-UTR)の完全長のクローニングおよび、すでに塩基配列の決定されている3'-UTR(約450bp)のプロモーター活性におよぼす影響について検討した。 1.pIgR3'-UTR完全長のクローニング pIgR 3' UTR領域のクローニングを3'-RACE法で行い、sequencingを行った結果、primer siteは完全に一致していたが増幅された内部はすでに知られている配列と一致していなかった。同一の実験をくり返したが結果は同じであった。したがって条件の検討などの再考が必要であると判断した。 2.3'-UTR(約450bp)のプロモーター活性におよぼす影響について 3'-UTRのfragmentを選択的に増幅する目的で、ヒトpIgR cDNAをtemplateとしてプライマーの5'側にそれぞれXba IおよびSal Iを付加したprimerで増幅し、約450bpのPCR productをpBluescriptのXba I/Sal I siteに組み込んだ。このplasmidよりXba I/Sal Iでfragmentを切り出した。さらにヒトpIgR遺伝子5'上流域約775bpをpGL3-Basicのluciferase遺伝子5'側に組み込んだベクター(-775/pGL3)のpoly A signal siteをpIgR 3'UTR fragmentに置き換えた。この発現ベクターをHT-29細胞にtransfectionし、48時間培養したところ、3'-UTRが組み込まれていないものと比較してプロモーター活性の定常レベルの低下がみられた。このことより、pIgR 3'-UTRは刺激のない状態においては転写を抑制する機能があると予想された。
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