研究概要 |
機械的刺激による骨形成促進機序の解明を目的として、今年度は以下のような実験を行い成果を得た。なお、この課題は同学部歯科薬理学講座の機械的刺激に関するプロジェクトの一環である。 1,マウス縫合部伸展モデルにおける骨芽細胞分化促進過程の解析 培養マウス頭頂骨の矢状縫合部にバネ装置による伸展刺激を与えて骨芽細胞の分化を促進させる実験モデルを用いて、骨芽細胞の分化に関連する各種因子の発現分布を酵素組織化学ならびにin situハイブリダイゼーションによって経時的に調べた。 その結果、伸展刺激をあたえた群では縫合部は次第に伸長、扁平化し、6時間で骨芽細胞の早期の分化指標であるアルカリ性ホスファターゼ活性およびCbfa1遺伝子陽性の細胞が増加し、頭頂骨縫合部側骨縁から縫合部中央部にかけて配列した。 これに先立ち3時間で、骨芽細胞の分化促進因子として知られるBMP-4の遺伝子が、縫合部骨縁の前骨芽細胞および縫合部内の線維芽細胞様細胞の一部で発現が増加することが示され、張力刺激による骨芽細胞分化促進においてBMP-4が重要な役割を担うことが示唆された。 2,伸展刺激により発現変化する新規遺伝子の検索 薬理学講座全体のプロジェクトの一つとして、同様の実験系において、非刺激群と伸展刺激群の骨縫合部よりRNAを抽出し、RAP法によって伸展刺激によって変動する遺伝子の単離を行っているが、この実験についても一部を担当し、成果をあげつつある。
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