[1]マウス頭頂骨矢状縫合部伸展モデルにおける骨芽細胞の分化促進過程の解析 昨年度までの研究の結果、マウス頭頂骨の矢状縫合部にバネ装置により伸展刺激を加えた組織培養系において、経時的に骨芽細胞の分化が促進され、その初期過程に線維芽細胞様細胞および前骨芽細胞におけるBMP-4遺伝子の発現促進が関与する可能性が示された。今回はさらに伸展刺激が骨芽細胞の増殖ならびに分化過程に及ぼす影響について明らかにするため、増殖の指標としてPCNAの免疫局在を、分化過程の指標として骨基質蛋白発現を、組織化学的に検討した。 その結果、PCNA陽性細胞は、張力刺激を加えた群で、主として縫合部の骨形成端において増加すること、また、骨基質蛋白の一種である骨シアロ蛋白、オステオポンチン、オステオカルシンの遺伝子発現は張力刺激を加えた群でも、刺激を加えない群でもほぼ同様な発現過程を示すことがわかった。 [2]伸展刺激により発現変化する新規遺伝子の検索 薬理学講座全体のプロジェクトのひとつとして、同様の実験系において、非刺激群と伸展刺激群の縫合部より抽出したRNAをRAP法によって比較する実験の一部を担当し、その結果、伸展刺激によって3時間で発現変化する遺伝子がいくつか検出された。それらの遺伝子についてプライマーを作成し、RT-PCR法によって経時的発現変化を検討し、さらにプローブを作成し、in situ hybridization法によって遺伝子発現局在を検討中である。
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