CFTRはABCトランスポーターに属するが、AキナーゼによるR domainのリン酸化と、NBDへのATP結合及びATP加水分解により開閉が制御されるCl^-チャネルとして働く。またCFTRは自身のCl^-チャネル活性以外に他のチャネル(outwardly rectifying Cl^- channelsなど)を制御する。そのモデルとしてCFTRの発現が細胞膜ATP透過性を亢進し、放出されたATPが細胞表面のpurinergic receptorsを刺激し、チャネル活性を制御することが考えられ、CFTRによるATP透過性制御機構の解明が重要視される。またCFTRはATPを透過しないが、CFTR R-domainと他の未知分子との接着によりATP透過性が付与され、ATP透過性はCFTRのR-domainのリン酸化とNBDでのATP加水分解により制御されることが、CFTR変異体を用い示されている。本研究ではCFTRのR-domainに接着し細胞膜ATP透過性を付与する分子をクローニングするため、CFTR R-domain(アミノ酸590-820)及びR-domain変異体をbait proteinとし、cDNAライブラリーの中でR-domainに接着する分子をyeast two-hybrid systemにより検出した。その中で新規遺伝子ファミリーに属すると考えられる3種類の遺伝子について完全長のcDNAをクローニングした。3種類の遺伝子はともにすべての組織に存在することがnorthern blottingにより推定された。GST-融合タンパク作製によるin vitroでのCFTR R-domainとの接着能の検索、及びco-immunoprecipitationによる細胞内でのCFTRとの接着能の検索により、その新規遺伝子はリン酸化されたCFTR R-domainに、より強く結合することが明らかになった。またその遺伝子ファミリー自体もリン酸化により機能調節されることが推定され、現在、リン酸化を介する細胞内局在の制御とその分子機能について、解析を継続している。
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