本年度は、頭頚部癌細胞に対する遺伝子治療に関する基礎的研究のうち、in vitroでの実験を行う予定であった。 これまでの経過として、ヒト野生型p53遺伝子を組み込んだプラスミドを含有する大腸菌をヒューマンサイエンス研究資源バンクから供与を受け、プラスミド精製を行った後、PCR法にてp53遺伝子を増幅させた。その後、試料を電気泳動にかけ、p53を含むバンドを確認した後、p53遺伝子を精製・抽出した。同遺伝子を、制限酵素(Swa I)にて処理したコスミドベクターに挿入し、ラムダパッケージングを行った後、大腸菌(VCS257)に感染させた。LB寒天プレートから取り出した大腸菌の20コロニーについて適当なプライマーを用いてPCR法で増幅し、電気泳動を用いて、p53を含むコスミドベクターを有するコロニーを選択した。選択されたコロニーをLB培地にて増殖させた後、p53を含むコスミドベクターを大量に精製・抽出し、コスミドベクターの濃度を測定した。 一方、ヒト頭頚部扁平上皮癌由来細胞SCC-9を10%FCS-DMEM培地内で、24穴培養プレートにてコンフルエントに達するまで培養し、遺伝子導入およびX線照射への準備を行った。 現在は、SCC-9細胞へ感染させるp53を含むアデノウイルス液を作製すべく、293細胞を培養し、同細胞へp53を含むコスミドベクターとDNA-TPCとのco-transfectionを行っている。
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