研究概要 |
Campylobacter rectus ATCC33238株の培養液に嫌気状態を保ったまま44℃、4hrの熱ショックを加えた。その後遠心分離を行い熱ショック菌体抽出標品を作製する。さらにcell lysis bufferを加え再度遠心分離後、培養上清からATP-agaroseを用いたアフィニティークロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル濾過により熱ショック蛋白質の一つであるGroEL様蛋白質を分離・精製し標品とした。 この蛋白質を電気泳動後PVDF膜に転写しCBB染色にて蛋白質を可視化・切り出ししてN末端アミノ酸配列を分析した。これをSwissProt data bankにて他の蛋白質との相同性を検索したところ、胃潰瘍などの原因菌として注目されているHelicobacter pyloriの病原因子と考えられているGroEL様蛋白質と80%以上の高い相同性が認められた。さらに Actinobacillus actinomycetemcomitans,Escherichia coil,Porphyromonas gingivalisなどの他の病原性細菌のGroEL様蛋白質とも50%以上の相同性がみられた。またヒト由来のHSP60とも50%以上の相同性が認められ、原核生物のみならず真核生物ともその関連性が見いだされた。 また前述の方法を一部改変して変性C.rectus GroEL様蛋白質精製標品を作製した後、この標品をFreundのアジュバンドを用いてウサギに免疫づけし、ポリクローナル抗体を作製した。さらにこれを一次抗体としたWestern immunoblotting法にて上記精製標品の抗原性を確認した。次年度より上記特異抗体を用いてその局在性を調べる予定である。
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