従来のファイバースコープを用いた微細径関節鏡の技術を応用し、1本の関節鏡のなかに2本のイメージチャンネルをもつ立体観察の可能な関節鏡を開発した。さらに、メディカルサイエンス社の開発による既製品の細径内視鏡用内視鏡装置を改良し、現在使用中の関節鏡検査の術式で検査を行い、立体内視が可能か否かを検討した。 弱電気メーカですでに実用化されている三次元画像システムを利用、改良し内視鏡を制作した。内視鏡は通常1本のイメージガイドで二次元画像を構成しているが、このイメージガイドを左右別々に分け、右からの情報と左からの情報を重ね合わせることとした。それ以外の部分、ライトガイドやファイバーイメージング装置は現行のまま使用した。画像の出力方法としてはSONYのパーソナルCDモニター・Glasstronによって三次元画像が構成されるようにした。 制作した立体関節鏡を用いて、これまでの関節鏡と平行して使用した。術式としては従来と変わりなく、患者への負担が増大することはなかった。その結果、関節腔内の滑膜増生などが3次元的に観察が可能であり、病態の把握に有効であった。特に、関節内の立体構造の把握に有効であった。しかし、立体視用眼鏡が1台しかなく、術者本人しかその画像を観察することが出来なかったこと、眼鏡自体の画面がやや小さいこと、左右別々のイメージガイドを使用したことによる干渉縞が生じてたことなどの問題も見られた。これらは今後の改良課題である。
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