1. Laser scanning microscope(LSM)による脱灰象牙質の形態変化の観察 脱灰象牙質の形態変化を、接着操作時の各ステップごとにLSMを用いて観察した。脱灰剤としてリン酸を用い、象牙質を湿潤状態、乾燥状態、HEMA水溶液塗布、再び乾燥状態において、それぞれの段階での寸法変化(処理していない象牙質面と比較した際の処理面の収縮量)を測定した。その結果、湿潤状態では脱灰象牙質の寸法変化は僅かであったが、乾燥状態では有意に収縮し、HEMA水溶液の塗布により再び膨潤するも元の寸法にはもどらなかった。これを強く乾燥すると、再び大きく収縮した。他方、100%HEMAの塗布により、乾燥した脱灰象牙質の膨潤は見られなかった。 2.Visco-elastisity Atomic Force Microscope(VE-AFM)による脱灰象牙質の粘弾性の測定 脱灰象牙質に浸透した成分(プライマー及びボンディング材)の種類及び浸透の深さを示す指標としての粘弾性を調べるため、今回の試料に適した測定条件の設定を試みた。カンチレバーの振動条件としては、走査速度0.5-1.0Hz.P gain4-5/I gain 0.001-0.005を基本とし、オペレーティングポイント、オペレーティング周波数、振幅gain等の最適値を模索した。但し今までのところ、健全歯質、脱灰象牙質、樹脂含浸象牙質それぞれの物性の違いが、測定値に常に反映されるには至っていない。
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