研究概要 |
最近の歯質接着システムは,操作ステップの省略化の傾向が進んでおり,これを一回で済ませるワンステップシステムが市販されるようになった。さらに,光重合型レジンについては,実験室環境のみではなく,口腔環境および操作因子などのテクニックセンシティブ因子も含めて評価する必要性が唱えられはじめている。すなわち,口腔環境あるいは操作面からみた因子として,照射光線の光強度,充填操作時の温度,湿度,ボンディング材の厚さ,被着象牙質面へのエアブローおよびアドヒーシブの作用時間などである。 そこで市販のDyract(Dentsply),F2000(3M)およびSI-IB 515(松風)の3製品を使用して,これらテクニックセンシティブ因子が象牙質接着性におよぼす影響を検討した。 その結果,照射光線の光強度では,製品によって多少異なるが,300mW/cm^2以上で安定した接着強さを示した。充填操作時の温度,湿度では,温度の影響はほとんど認められなかったが,湿度の高い状態(95%)で接着強さが低下する傾向を示した。ボンディング材の厚さおよびアドヒーシブの作用時間はほとんど影響は認められなかった。被着象牙質面へのエアブローでは乾燥させた状態よりも,湿潤している状態の方が接着強さが高くなる傾向を示した。これらの傾向は,従来の3ステップおよび2ステップシステムとほとんど同様の傾向であった。
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