(1)ヒト歯髄(DP)細胞の分離と培養:臨床的に健全な新鮮抜去歯の歯髄組織を培養して線維芽細胞様細胞を分離した。アルカリホスファターゼ(ALPase)活性を測定し、他の株化された線維芽細胞に比較してALPase活性値が高いことを確認してDP細胞とした。(2)ウエスタンブロット法による細胞接着分子Intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)タンパクの確認:ヤギ抗ヒトICAM-11次抗体およびウサギHRP標識抗ヤギ2次抗体の特異性について検討した。サンプルには新鮮抜去歯の歯髄組織をホモジナイズして遠心分離した上清画分を使用した。1次抗体と2次抗体の両方を作用させた場合、111kDa以上の高分子領域にスメアーなバンドと約83kDaの位置に1本の明瞭なバンドが認められた。ネガティブコントロール(ヤギ正常血清)と2次抗体を作用させた場合、111kDa以上の高分子領域に1次抗体と2次抗体の両方を作用させた場合と同様なスメアーなバンドのみが認められた。従って、両結果の比較からICAM-1シグナルは約83kDaの位置に1本の明瞭なバンドとして認められることが明らかとなった。現在、DP細胞の細胞膜成分を分画するために、抽出用バッファーの塩濃度や界面活性剤の種類などについて詳細に検索を行っている。(3)Reverse Transcription-PCR(RT-PCR)法によるICAM-1 mRNA発現の確認:DP細胞から通法にしたがってRNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAとした。現在ICAM-1遺伝子配列より決定した数種類のプライマーの特異性ついて比較検討中であり、これまでのところICAM-1 mRNA発現をはっきりと確認できる1つのプライマー対を決定した。
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