本年度は、下記のごとき動物実験を行い、デンタルインプラントを施すことを前提とし、GBR法にBMPを応用して増生された歯牙欠損部顎堤の経過について病理組織学的に検索した。 まず、ハイドロキシアパタイト顆粒(HAP;旭光学社製アパセラムタイプG、粒径0.3〜0.6mm)0.5gに骨誘導タンパク質(BMP;サンギ社製BMPカクテル)100μgおよびアテロコラーゲンを加え成型し、BMP-HAP-Collagen複合体(BHC複合体)を作製した。また、BMPを含まないHAP-Collagen複合体(HC複合体)も作製した。 ビーグル犬の歯牙欠損部顎堤に対して、GORE-TEX Augumentation Material(G-TAM)を用いたGuided Bone Regeneration(BHC複合体)を応用し、さらに骨とG-TAMの間の空隙にBHC複合体あるいはHC複合体を埋入した。この際、同一固体に対して片側にBHC複合体(実験群)、反対にHC複合体(対照群)を埋入した。また、G-TAMはチタンスクリューを用いて骨に固定した。 埋入後2週、4週および8週に実験動物を屠殺し、組織標本を作製し、欠損部顎堤に新生された骨を病理組織学的に検索し、実験群と対照群との比較検討を行った。 その結果、実験群においては、対照群に比較して複合体内への骨新生が旺盛で、GBR法を用いた歯牙欠損部顎堤の増生術にBMPを応用することの有用性が示唆された。 今度は、欠損部顎堤に新生された骨について、さらに組織計量学的な検索を加える予定である。
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