機能時、咀嚼筋の発生する筋力は歯列と顎関節によって分配、負担される。その配分は、顎口腔の形態・機能の維持に重要な関与を果たしていると考えられるが、詳細は不明である。本研究は、歯列における筋力の負担配分の正常像を解明することを目的として、三次元咬合力分布の正常者像の検索を行うものである。 初年度の今年は、三次元咬合力測定方法に関する検討を行って初期の目的を遂げ、正常有歯顎者における試料採取については、その一部を終えた。 咬合力の大きさの測定には、感圧フィルムを応用した咬合力測定法を用いた。一方、咬合力の作用部位と作用方向の測定は、当初平成8年度に文部省科学研究費の援助を受けて開発した、レーザー光の全反射光路を利用する光学式咬合面傾斜測定装置によって行っていたが、測定の所要時間の短縮をはかるべく、咬合面の三次元形状測定装置を応用する新たな方法に切り替えた。これにより同等の測定精度を確保しながら、簡便性、省力性を改善し、また計測時間を大幅に短縮することができた。 一方、顎口腔に機能異常とその既往を認めず、第三大臼歯以外に欠損歯のない天然歯列を有する正常有歯顎者に本研究の目的と方法を説明し、これまでに25名より研究参加の同意を得た。今年度は、全被験者の咬合力測定を果たし、一部被験者では咬合面形状測定用の歯列模型を製作した。
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