研究概要 |
スクリュー固定術者可撤式のインプラント上部構造では,Passive fitと呼ばれる精度の高い適合性が要求される.この適合性の診査方法として,シェフィールドの適合試験や上部構造固定時のスクリュー締結回転角度を目安とする確認方法が提案さている. 今回,これら二つの適合試験法の有効性について実験的に検討した.シェフィールドの適合試験については,上部構造に200gの荷重をかける場合に用いるワックス片について,異なる条件下で押し付け試験を行い検討した.また,200gの荷重が周囲骨組織とインプラント,上部構造に与える影響について,3次元有限要素法によりシミュレーションを行った.スクリュー締結時回転角度による確認方法については,締結時のトルク力と回転角度を同時に測定する装置を製作し,当科で導入しているステリオスインプラントシステムを用いて回転角度-発現トルク力曲線を求めて検討した.その結果,シェフィールドの適合試験は,松風,GC,KERRの3社のワックスを用いた場合には不安定な方法である事がわかった.スクリュー締結回転角度による確認法は,同一の術者が行う限り有効となりえる事が示唆されたが,ステリオスシステムにおいてはアバットメントの種類による角度差を考慮する必要があることがわかった(本研究の成果は,日本口腔インプラント学会誌に投稿の予定である).引き続き,インプラント周囲の歪みに関する研究を行う予定である.レジンブロックに3本のインプラントを植立し,歪ゲージを貼り付け,3ユニットのメタルフレームを作製する.不適合な上部構造を装着した場合にインプラント周囲に生じる応力,またスクリューの締め付け順序や締め付けトルク力が与える周囲組織への影響を検討する予定である.
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