研究概要 |
本研究での予備的実験において,レーザーを口腔内時効硬化性金合金へ照射した場合の金合金に対する溶解深度がレーザー照射条件(電流量:160-300 A,パルス幅:1-13 ms,スポット径:0.4-1.8 mm)によりどのように変化するかを調べた。その結果レーザーの電流量を上げた場合とスポット径を小さくした場合に金合金に対する溶解深度は深くなった。また,パルス幅が1 ms以上では金合金に対するレーザーの溶解深度は深くなるが,パルス幅が1 ms以外では溶解深度に有意な差は認められなかった。予備実験で得られたデータをもとにレーザーの溶接条件を決めてから口腔内時効硬化性金合金のレーザー溶接強度の測定を行った。溶接強度測定は引張試験によって行った。引張試験片は2種類の厚さ(0.5mm,1.0mm)の板状鋳造体(40mm×3.0mm)を口腔内時効硬化性金合金により作製し,中央を切断後にレーザー溶接を行った。レーザー溶接は幅3.0 mmにスポット径(1.0 mm)が重ならないようにレーザーを垂直に照射した。レーザー溶接した試験片は口腔内時効を含む4種類の熱処理(As-cast,溶体化処理,硬化熱処理,口腔内温度時効)を施し,引張り試験に供した。硬化熱処理と口腔内温度時効を施した試験片はAs-castや溶体化処理を施した試験片より有意に高い引張り強度を示した。レーザー溶接した口腔内時効硬化性金合金は口腔内温度時効により硬化熱処理した試験片に劣らない溶接強度を示した。
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