研究概要 |
市販純チタンスクリューインプラントへの酸素イオン注入を,PSII(Plasma Source Ion Implantation)の諸条件を変えて行った後,スクリューの様々な部位での酸素注入深さをAES(Auger electron spectroscopy)による深さ分析で評価した。その結果成膜時の真空度約10^<-3>Pa,プラズマ発生用高周波出力30W,パルス電圧-50kV,パルス周波数10〜5kHzにおいて試料の最終酸化膜厚径はほぼ均一に100nmとなった。さらに酸化膜の結晶構造をXRD(X-ray diffraction,X線回折)によって調べると酸化チタンの結晶に相当するピークは全く観察されず,酸化膜はTiとOを含むアモルファス構造を呈していると結論された。ついでAFM(Atomic force microscope,原子間力顕微鏡)により,イオン注入はnmレベルの表面モルフォロジーに影響を与えるが,表面そのものの形状は変化させず,表面モルフォロジーの制御が可能であることが明らかとなった。 引き続き同試料を用いて動物実験を開始した。実験動物および対象部位として家兎脛骨を選択し,麻酔下にて皮膚,筋,骨膜弁を開き,生理食塩水注水下にて脛骨近位骨端部に埋入窩を形成し,左右2本ずつインプラントを埋入した。なお実験後の評価のため,未処理コントロール群と実験群を一対とし,左右対称に2本ずつ,計4本/羽の埋入を行った。現在経時的に試料採取を行っている過程である。
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