研究概要 |
ヒト腫瘍抗原における細胞性免疫の解析が、この数年、分子レベルで行われるようになり、癌細胞を傷害する細胞傷害性T細胞(CTL)が認識する抗原ペプチドをコードする遺伝子が同定された。本研究は、現在までに報告されている扁平上皮癌特異的抗原ペプチドを用いて、口腔癌患者のT細胞から腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞を誘導し、特異的免疫療法の開発を目的とする。本年度は、当科で樹立した口腔由来扁平上皮癌細胞株4株、外陰部由来扁平上皮癌細胞A431細胞、唾液腺癌細胞HSG、HSY細胞について、Boonらが報告した腫瘍特異共通抗原であるMAGE(melanoma antigen,gene)-3を発現しているか、Reverse Transcription-PCR法にて検索した。その結果、当科で樹立した2種類の扁平上皮癌細胞株および唾液腺癌細胞HSG、HSY細胞がMAGE-3を発現していることが明らかになった。さらに、健康人から採血した血液を用いてHLA-AのDNAタイピングをPCR-SBT法を用いて行い、HLA-A24(+)のタイピングをもつ人をスクリーニングした。現在、当科で開発した無血清培地にMAGE-3ペプチドを添加した培地で、HLA-A24(+)のリンパ球を培養してCTLを誘導し、MAGE-3を発現している扁平上皮癌細胞株および唾液腺癌細胞HSG、HSY細胞を標的としたクロム遊離試験法を行い、CTLを効率よく誘導できる条件を検討している。
|