研究概要 |
本研究では,メカニカルストレスが軟骨細胞分化に与える影響を分子レベルで解明することを目的として,おもに細胞一細胞外基質間に形成される接着斑を構成するインテグリン,細胞骨格,細胞骨格関連分子,細胞内シグナル伝達分子および細胞外基質聞篠果たす役割を分子生物学的に解明する.特にインテグリンを介した細胞外基質と細胞の接着の阻害あるいは促進によってメカニカルストレスに反応する軟骨細胞で惹起される接着斑の形成,あるいは細胞骨格関連遺伝子の発現,タンパクの局在の変化などを定量的RT-PCP法によるメッセンジャーRNA量の定量や,蛍光抗体間接法による免疫染色と共焦点レーザー顕微鏡を用い形態学的に明らかにする.本研究は,牽引力の負荷にともないII型コラーゲンの合成が減少して軟骨細胞が脱分化し,この脱分化にはインテグリンを介した細胞外基質との接着が必要であるという作業仮説に基づいて行うものである. 現在までのところ,Flexer cell plateを用い,ラット胎児四肢胚から得られた未分化間葉系細胞をコラーゲンゲル内で高密度培養し,軟骨組織の分化を誘導することが可能になった.また,これにより得られた軟骨組織よりmRNAを採取し,RT-PCR法により軟骨組織の分化マーカーであるII型コラーゲンのmRNAの検出が可能である.さらに,牽引力の負荷を行い,負荷する牽引力の範囲を検討中である.
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