本研究の目的は、第一、第二鰓弓症候群患者の咀嚼筋の体積および形状と、顎顔面骨格の形状を三次元的に記録、解析し、筋肉に関するパラメータについて左右差が存在するのか、またもし存在するなら、それは顎顔面のいかなる形態的特徴と関連を有するのかを明らかにすることにある。 臨床診査において、第一、第二鰓弓症候群と診断された患者8名に対し、ヘリカルタイプCTスキャナを用いて、顎顔面部のCT撮影および顎関節部のMRI撮影を行なった。得られたCTデジタルデータは、ワークステーション上で、三次元再構築される。画像解析ソフトウェアを用いて、両側の咬筋、外側翼突筋、内側翼突筋、側頭筋を分離した。分離方法の再現性が充分に高いことを、予備実験で確認した上で、咀嚼筋の体積及び表面形状を定量的に評価した。各咀嚼筋に関するパラメーターについて左右差が存在するか否か、さらに左右差の程度について、各咀嚼筋間に相関が認められるか否かについて統計学的検定を行なった。また、下顎骨形成不全、歯の形成不全、耳介形成不全と咀嚼筋の左右差の程度に相関があるか否かについても統計学的検定を行なった。顎関節部のMRIデータについては、現在解析中である。 一方、43名の顎顔面部に形態異常を認める他の先天異常症候群患者についても、同様にCT・MAI撮影を行ない、第一・第2鰓弓症候群患者の咀嚼筋形態の特徴と、他の先天異常患者のそれとを比較検討している。 本研究の一部である、先天異常症候群患者の三次元的顎顔面形態評価について、12^<th> International Congress of Dento-Maxillo-Facial Radiology および4^<th> Asian Pacific Cleft Lip &Palate Conference において発表した。
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