研究概要 |
小児において、唾液に含まれるペルオキシダーゼによる酸素発生が齲蝕とどのような関係にあるのかを調査するため、九州歯科大学小児歯科学診療室に来院した4歳から6歳までの小児を対象に、保護者の承諾を得てから、パラフィンを咀嚼させ、口腔内より唾液を採取した。採取された唾液をもちいて、唾液に含まれるチオシアン酸の濃度を分光光度計にて測定し、また唾液のpHを測定した。さらにその唾液をpH8とpH6の緩衝液で調整し、1mMの過酸化水素を加えて、pH8とpH6における酸素発生を酸素電極で測定した。また唾液採取と同時に、齲蝕活動性試験をデントカルト(dentcult buff,dentcultLB,SM,CA、Orion Corporation)を用いておこなった。これらはそれぞれ、唾液緩衝能、lactobacillus,Streptococcus MutansそしてCandidaを検出し、培養する事でカリエスリスクの判定を行なった。以上の事から得られた結果はまとめられ、次の結論を得た。 1.CSI(caries serious index)がプラスである唾液は酸素発生が高い傾向にある。 2.CSIがプラスである唾液からは、LB,SMとも多く検出され、ハイリスクの傾向にある。 3.唾液のpHは多くは中性付近であるが一部の唾液の中で酸性を示している唾液があり、これはチオシアン酸濃度も酸素発生も他の唾液と比較しても、極めて高値を示していた。 現在、まだ測定された個体数が少ないため、今後、さらに測定数を増やし、統計的処理により以上のことが明らかにされる必要がある。
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