研究概要 |
SV40遺伝子を導入により樹立された6種のヒト歯根膜由来細胞株(SVPDL-F1〜3,SVPDL-O1〜3)において、伸展力に対する経時的変化を検討したところ、線維芽細胞の形態を呈しているSVPDL-F1はPGE_2産生で対照群に比べて差はなかった。同様に線維芽細胞の形態を呈しているSVPDL-F2,3は1日目では対照群と差はなかったが3日、5日目において増大した。RT-PCRの結果、COX-2遺伝子発現は3日目で顕著に増大した。一方、骨芽細胞様細胞の形態を呈しているSVPDL-O1〜3は伸展力を加えた後、SVPDL-F1〜3と異なり早期の4hから24hに顕著に増大した。COX-2遺伝子発現も早期に亢進していた。COX-1は6種の細胞株で、その遺伝子発現において変化は認められなかった。 伸展力に対して骨芽細胞様細胞の形態を呈しているSVPDL-O1〜3は早期に、線維芽細胞様細胞の形態を呈しているSVPDL-F2,3は後期にPGE_2産生量がCOX-2遺伝子発現を介して亢進した。このことは歯根膜細胞中に存在する線維芽細胞あるいは骨芽細胞様細胞が伸展力に対して異なった応答をしており、各細胞群がお互いにクロストークを行いながら、歯根膜の機能を営んでいるものと考えられる。
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