研究概要 |
基礎的検討とし,プラーク中のミュータンス連鎖球菌群の量的評価をSite strip(以下SS)で行うにあたり,採取プラーク量(肉眼的判定量)とSS結果について,同一のプラーク(24時間の歯口清掃停止後・ヒト口腔より採取)を6ないし8つに分割し,検討を加えた。その結果,肉眼所見で4倍の差があり,SM寒天培地を用いたCFUでみると1オーダーの差がみられるような症例においても,SSの評価にはほとんど差が無かった。 そこで,成人125名(21歳から25歳)を対象にSS(口腔内の4部位から採取)およびStrip mutans(以下SM)により,ミュータンス連鎖球菌群の量的評価を行い,あわせて口腔診査を行った。 1,いずれの部位でも,各SSのスコアの割合は、0>1>2>3の順で,部位差はみられなかった。 2,両法の成績,同一口腔内ではSMのほうが多くの例で高いスコアであった。両スコアの関連性は、いずれも約0.5の相関係数を認めた。また,SSの最高値とSMの間では比較的高い一致率を得た。 3,両法の成績と一口腔におけるう蝕経験との関連については、DT,DS,DMFT,DMFSのいずれにおいても,SSの最高値のほうがSMよりやや高い相関性を得た。 4,局所におけるう蝕歯面,修復歯面及び健全歯面の各SSスコアの分布はう蝕歯面では0が最も少なかったのに対して,修復歯面及び健全歯面では0が最も多く,特にう蝕歯面は他の歯面と異なった傾向を示した。
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