ウィスター系ラットを実験に用いて、Ca含有量の異なる3種類の試料(Ca-0.9%、Ca-0.3%、Ca-0.02%)を与えた場合に歯槽骨の骨密度がどのように変化するのか、更に、妊娠、授乳の要因が加わった場合にどうか、について検討を行った。また、子どもについても母親のCa摂取量の違いにより歯槽骨の骨密度がどのように変化するのか検討した。歯間部歯槽骨の骨密度について検討した。非妊娠群の骨密度は、Ca含有量に依存して減少し、0.02% Ca群で有意に低い値を示した。妊娠群でも同様に骨密度は、Ca含有量に依存して減少したが、非妊娠群と比較して現象程度はより顕著であった。すなわち0.02% Ca群に加えて0.3% Ca群でも既に0.9% Ca群と比較して有意に骨密度が低い値を示した。また、同一Ca含有量の試料を摂取した群での比較を行ったところ、0.9% Ca群では骨密度に差はみられなかったが0.3% Ca群と0.02% Ca群では、それぞれ妊娠群の骨密度が低い値を示した。 母親のCa摂取量の違いは、こどもの歯槽骨の骨密度により大きな影響を与えた。すなわちこどもの歯槽骨の骨密度は母親のCa摂取量に依存して減少した。 0.3% Ca群と0.02% Ca群の骨密度は、0.9% Ca群と比較して有意に低かった。 以上の結果より妊娠および授乳はCaが十分に摂取された状態では歯槽骨の骨密度を減少させる直接のfactorとはなり得ないが、Ca摂取量が減少または欠乏した状態では骨密度の減少を促進するrisk factorになり得ることが示唆された。また、母親のCa摂取量が非常にシビアにこどもの歯槽骨の骨密度に反映されることが示唆された。
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