1.DGK遺伝子の構造解析 DGK遺伝子の構造解析を行った。DGK遺伝子のゲノムクローン(札幌医科大学、坂根博士から恵与)上で、これまでイントロンとして報告されており、未だその塩基配列が解析されていない領域の塩基配列を決定した。preliminary dataとしてDGK-αのcDNAエクソン1領域には多型性のあることが分かっていたが、これまでの報告と異なったエクソン1領域の塩基配列は同一遺伝子上のイントロンとして報告されていた領域に存在した(既報のエクソン1とエクソン2の間)。また、primer extension法によって新しいエクソン1の転写開始点を決定した。予想されるプロモーター領域はGC richな構造を持っており、DGK-α遺伝子は複数の転写開始点を持つことが明らかとなった。 2.DGK遺伝子の多型性の解析 健常者7人と早期発症型歯周炎患者15人のDGK-αcDNAの多型性を調べた。一人の患者にcDNA上の変異(多型性)が存在した。この変異はDGKのcatalytic domainに存在したが、そのアミノ酸配列を変えるものではなかった。すなわち、早期発症型歯周炎患者にみられる好中球のDGK酵素活性の低下はこの分子の構造変化によるものではないことが示唆された。そこで、DGK分子の発現量をNorthern Blot法で調べた。その結果、早期発症型歯周炎患者ではFMLP刺激下でDGKの発現量が低下する傾向があった。さらに、早期発症型歯周炎患者のプロモーター領域(既報の-850〜 +50領域)には多型性のあることが分かった。とくに-850〜 -800の領域において多型性のみられることが多かった。
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