研究概要 |
平成11年度では,感染マクロファージの細胞死における一酸化窒素(NO)の役割を明らかにするために,マウスマクロファージ様細胞株J774.1にA.actinomysetemcomitans Y4株を感染後,誘導型NO合成酵素(iNOS)の特異的阻害剤であるS-Methyl-ITU(SMT)を添加してその影響を検討した。細胞死への影響を調べるために,本研究では生細胞数の測定するMTTアッセイ,およびDNA断片化によりアポトーシス発現を定量化する細胞死検出ELISAキットを用いた。測定の結果,SMTを添加した感染マクロファージでは,阻害剤を添加しなかった対照群に比べ生細胞数が減少しDNA断片化が増加していた。また,マウスiNOSに特異的なプライマーを用いたRT-RCR法により,感染マクロファージにおいては感染3時間後からiNOSmRNAの発現が確認された。さらに,細胞内で生成されるNOが細胞死に影響を及ぼす機序を調べるために,感染マクロファージ内のカスペース3活性について測定を行った。その結果,感染マクロファージにSMTを添加することにより,感染マクロファージ細胞内でのカスペース3活性は上昇する傾向が認められた。来年度の研究では今年度の研究結果をふまえ,細胞内でのカスペースファミリープロテアーゼとNOの果たす役割との関係についてさらに詳細に検討していく予定である。
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