研究概要 |
本研究では、渦鞭毛藻Amphidinium sp.より単離した殺細胞活性を示す新規26員環マクロリド・アンフィジノリドBの全合成研究の一環として、C-1〜C-13セグメントおよびC-14〜C-26セグメントの合成研究を行った。 1)アンフィジノリドBのC-1〜C-13セグメントの合成研究において、1,4-ブタンジオールを出発物質として、4工程でC-3〜C-7セグメントを合成した。一方、(2S,4S)-2,4-ペンタンジオールを出発物質として、Sharplessの不斉エポキシ化反応を用い、13工程でC-8〜C-13セグメントを合成した。C-3〜C-7セグメントとC-8〜C-13セグメントをカップリングし、8工程でC-1〜C-13セグメントを合成した。 2)C-14〜C-26セグメントの合成研究は、3-メチルブト-3-エン-1-オールより不斉ジオール化反応を鍵反応として10工程でC-14〜C-18セグメントに相当するアルデヒドを合成した。一方、(2S,4S)-2,4-ペンタンジオールを出発物質として、Sharplessの不斉ジオール化反応を用い、10工程でC-19〜C-26セグメントを合成した。C-14〜C-18セグメントとC-19〜C-26セグメントをカリウムへキサメチルジシラジドを用いたアルドール反応を行い、さらに3工程を経てC-14〜C-26セグメントを合成した。 3)C-1〜C-13セグメントの1位カルボン酸と、C-14〜C-26セグメントの26位水酸基をKeck法を用いてエステル化を行い、Stilleカップリング前駆体へと導いた。 4)アンフィジノリドBの細胞毒性に関する構造活性相関の一環として、類縁マクロリドであるアンフィジノリドG、Hおよび類縁体5種を単離するとともに、アンフィジノリドHから化学誘導反応により6種の化合物を調製した。アンフィジノリドBの強力な細胞毒性の発現には、アリルエポキシド基の存在が重要であることが示唆された。
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