研究概要 |
現在開発・上市されている免疫抑制剤は、作用点の類似性、副作用などの問題を抱えており、より安全性が高く作用点の異なる新規物質の開発が強く望まれている。そこで本研究では、新しい作用機序に基づく免疫抑制活性をもつ新規物質を天然物から探索することを目的とする。天然物の探索素材としては、植物のみならず、海洋生物(海綿、ホヤ等の無脊椎動物)、および細菌・真菌類などの陸棲および海洋性微生物をとりあげ、マウスリンパ球混合培養反応(MLR)を指標として、活性物質の探索を行った。以下に本年度の研究成果の概要を報告する。 沖縄等において採取した海綿動物、ホヤ類などの種々の海洋無脊椎動物、微細藻類、細菌、真菌等の海洋微生物、陸棲の微生物、およびブラジル産薬用植物を材料として、これらの抽出物について、マウスリンパ球混合培養反応を指標としてスクリーニングを行った結果、いくつかの抽出物に活性が認められた。これらの抽出物について各種クロマトグラフィーを用いて分離、精製することにより新規化合物を単離した。分離した新規化合物に対して、各種NMRおよびMSスペクトルならびに誘導反応等を用いて化学構造を明らかにした。ブラジル産薬用植物からは新規ラブダン型ジテルペンおよび新規含窒素クレロダン型ジテルペンを、海洋性真菌からは新規1,3-ジオキソラン化合物を見い出した。
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