本年度は、一級アミンからN-アルキルヒドロキシルアミンへの変換法の基礎的な検討を行った。 作業仮説にしたがって、まず、一級アミンをシアノメチル化し、続く、MCPBAでのニトロンへの酸化、およびニトロンからヒドキシルアミンへの変換の各段階に関して、反応条件など詳細な検討を行った。第一段階目のシアノメチル化に関してはクロロおよびプロモアセトニトリルと塩基として炭酸カリウムもしくはHunigベースを用いることで、モノシアノメチル体を高収率で得ることができた。なお、嵩高いアミノに関しては、ヨードアセトニトリルを用いて反応を行えばよいことも同時に見いだした。第二段階目のMCPBAによる酸化反応は、予想通りシアノ基の電子的影響によると思われる置換基効果により位置選択的に進行し、シアノ基側が二重結合になった望みのニトロンのみが生成することがわかった。得られたニトロンからヒドロキシルアミンへの変換は、過剰量のヒドロキシルアミン塩酸塩をメタノール中60度で作用させた条件でもっとも良好に進行することが判明した。以上のように、作業仮説での反応が予想通り進行することが、ベンジルアミン等の簡単なモデル化合物を用いた検討で明らかになったので、今後は種々の基質を用いて上記反応を行い本反応の適応範囲に関する知見を得たいと考えている。
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