研究概要 |
光学活性リンゴ酸から容易に合成できる(S)-5,6-ビス(tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)オキシ)-2-ジアゾ-3-オキソ-へキサン酸メチル(1)を触媒量の酢酸ロジウム(II)[Rh_2(OAc)_4]と塩化メチレン中還流し、シリカゲルカラムて処理すると化学(官能基)選択的C-H挿入反応続くシラノールの脱離により(S)-3-TBDMSオキシ-5-オキソ-1-シクロペンテン-1-カルボン酸メチル(2)が68-83%で得られた。本反応は1のベンゼンスルホニル誘導体でも有効で(S)-2-ベンゼンスルホニル-4-TBDMSオキシ-2-シクロペンテノン(3)が高収率で得られた。 化合物2及び3はいずれもケトン基とエステル或いはスルホニル基の2つの電子吸引性基で活性化されたアルケンであるため、一般に共役付加反応には用いられないトリアルキルアルミニウムと反応して共役付加体を高収率で与えた。さらに、興味あることに付加した3位アルキル基と4位TBDMSO基はシス配置をとっていることがわかった。即ち、2或いは3とトリメチルアルミニウム(2.2-4eq)をトルエン中-78℃で反応させると2,3-trans-3,4-cis体,(2R,3R,4S)-4-TBDMSオキシ-2-メトキシカルボニル-3-メチルシクロペンタノン(4)或いは(2R,3S,4S)-2-ベンゼンスルホニル-4-TBDMSオキシ-3-メチルシクロペンタノン(5)がそれぞれ66%,86%で単一の立体異性体として得られた。この高い3,4-シス選択性は、アルミニウム反応剤が基質の4位TBDMSO基の酸素原子とキレーションしてR基が4位TBDMSO基と同じ側から分子内て付加したものと考えると説明できる。 現在、化合物4を用いる抗腫瘍活性天然物の合成を展開中である。
|