研究概要 |
病態モデルとしては、四塩化炭素などの塩素化合物により惹起される肝炎モデル、アジュバント関節炎モデルなど、申請者の所属研究室で通常のin vivo ESR法により酸化ストレスの関与を報告したモデルを用いて、酸化ストレスを惹起部位の詳細解析を行った。また、スーパーオキシドディスムターゼ(Cu,Zn-SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx1)の遺伝子組替え動物を導入し、病態の分子レベルでの解析を目的としてこれら酵素過剰発現の影響についても解析した。 本年度は、1)ESR画像化法アルゴリズムのin vivoモデルでの適用性の検証、2)病態モデルへの適用を考慮して遺伝子組み替え動物の特性解析を中心に検討した。1)については、典型的肝炎モデルである四塩化炭素投与時の上腹部での消失速度の変化を、通常のin vivo ESR法で示唆された時間帯(〜1時間群、3-6時間群)に着目して画像解析した。その結果、処理1時間後には既に上腹部でのラジカル反応が亢進していることが明らかとなった。2)については、ヒト組換スーパーオキシドディスムターゼCu,Zn-SOD遺伝子、グルタチオンペルオキシダーゼGPx1の遺伝子組替えマウスを脳、肝、腎、足蹠部等の各組織での抗酸化酵素(Cu,Zn-SOD,catalase,GPx等)の発現量を定量し、それぞれCu,Zn-SODあるいはGPx1が各組織で過剰発現していること、catalase等の他抗酸化酵素活性がほとんど変化していないことが明らかとなった。これらを元に第二年度は遺伝子組み替え動物を用いた病態での酸化ストレス惹起を検討する予定である。
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