低酸素やグルコース飢餓ストレスによるプロテアソームの核内蓄積機序を明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。 1. プロテアソームの構成変化の可能性を検討するため、20Sプロテアソームを構成するすべてのサブユニットについてmRNAレベルでの発現をRT-PCR法によって調べたところ、ストレス環境下で変化しないことが明らかになった。 2. 種々のプロテアソームサブユニットに対する抗体を用いイムノブロット法にて発現量を検討したところ、確認できる限りすべてのサブユニットにおいてストレスによる核内蓄積が認められた。一方、全細胞中の発現量には変化が認められなかった。 3. プロテアソームの核内蓄積を簡便に解析するため、20Sプロテアソームサブユニットの一つであるLMP-2のGFP融合タンパク質を安定に発現する細胞を樹立した。 4. プロテアソームの核内蓄積の制御機構の解析のため、核移行シグナルをもつサブユニットXAPC7の一過性発現系を構築し、この系において導入蛋白のストレスによる核内蓄積を確認した。現在、XAPC7の核移行シグナルを欠乏させた変異体を作製中である。 以上のように、本研究はほぼ予定通り順調に進んでおり、来年度の研究継続に全く問題ないと考えている。
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